忘れたことは

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一度忘れたことは二度と私のもとには帰ってこない。
新しい記憶の十二単を着せられてその姿は原形をとどめない。
窒息しそうなほどにおしろいで塗り固められたそれをもう一度見ることはない。
そこにはもう帰ってこないという意志がある。

かけらも忘れられないことは地獄のループのようである。
蝕み食い尽くそうと私を見つめている。
甘い香りで油断させるその向こうには鋭い牙がある。
噛みついたら離れない。
血が出て痛くて苦しい。
けれど決して殺さない。
ずーっと離れないんだ。
そこには果実のような香りだけが漂っている。

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This page contains a single entry by Eriko Kirsch published on October 13, 2005 5:27 AM.

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